映画『TENET テネット』私の頭の中が“回転扉”に…。
こんばんは☆lenoreです!
今回は、やっと劇場に観に行けた映画『TENET テネット』について書こうと思います。
クリストファー・ノーラン監督が7年がかりで作り上げた作品ということで、
あまり予備知識を入れずに、難しいだろうなと思って頭空っぽの状態にして観に行ってきました!
確かに難しかったけど、とても面白かったです!
息継ぎする間が…
私、今回劇場に『TENET テネット』を観に行くにあたって
【1人で観に行くか?/夫と観に行くか?】をすごく迷ったんです。
●ノーラン監督の作品はIMAXカメラ撮影&音や音楽も素晴らしいので、できれば劇場で観たい!(ホントのホントを言えば、IMAXシアターで観たい!でも近隣では大都市にしかないのでなかなか😅)
●ノーラン監督の作品は「夢の中のそのまた中…」や「時空を超えて…」というようなすごく奥まっている作品が多いので、1人で観に行ってパンフレットも買ったは良いけど「あそこってこうだったよね?」「え?こうじゃないの?」という意見交換が出来ないと、多分難しすぎて私分からなさそう。
●娘が療育に行っている数時間のあいだに、夫と私2人ともが2時間半の映画を観て、且つお迎えにも間に合うタイミングのちょうど良い上映開始時間を見つけるのがなかなか…💦
この辺のことを悩みながらぐるぐる迷っていたら、
運良く良い時間帯の上映があったので、夫と2人で鑑賞することができました。
結果、2人で観て良かったです!
1人で観ていたら、危うく私の頭自体が“回転扉”になるところでした笑💦
時間の概念の説明をジーッと聞いていると、今度は映像に驚く…
驚いているうちに、今度は次の“ミッション”の説明が始まって…
こんな風に時間の概念 × “違和感”な映像 × スパイ映画要素が、
ほぼ息継ぎ無くダダダっと来る感じだったので、
若干「ちょっと待てよ…うーんと🤔」とちょこちょこ思い出さなきゃいけなくて…!
単純に私の頭の処理能力の限界を越えていただけかも知れませんが…笑
1回で理解するには難しいが…
予想通り確かに難解だったんですが
家でパンフレットを読みながら、劇場で観ていた時のことを頭の中で反芻していたら(まさに“逆行”のよう🤭)
「実はストーリーの核部分は割とシンプルなのかも…?」と感じました。
※後述しますが、ストーリーの中心には“突破”の面があって、そこが一番分かりやすいし共感しやすいかなと思いました
あと、初見の時は名もなき男中心でストーリーを追っていくと思うので、
●ニールの視点
●キャットの視点
●セイターの視点
…それぞれの視点でも理解していこうと思うと
どうしても複数回観ないと分からないような構造になっている気もします。
そういったこともあって「すごく難しいのに、大ヒット」という現象につながっているのかも知れません。
3つの“突破”
【この段落以後、内容について記述があります】
どんな映画でも「この映画は何を伝えたかったんだろう?」といつも考えるんですが、
今回この映画『TENET テネット』観終えた後に私の頭の中に浮かんできたのは
「Breakthrough(突破)」という言葉でした。
この点をメインで考えると、難解さが若干和らぐのではないかなと思います。
①「覆水盆に返らず」→「為せば成る」に!
名もなき男は、スパイになるための“テスト”で唯一合格したほど、非常に優秀な人物。
彼は戦闘能力に秀でているだけでなく(特にレストラン厨房でのアクションシーンがすごかった!)
仲間や組織のために自分の命も厭わないような強い精神力も持っています。
「“逆行”の世界で車を運転するなんて自殺行為だ」と言われてもやっちゃう💦
結果、運転自体は“横転”という大変な状態になってしまいましたが、
あそこまで(過去の自分の目前)まで行けたのは本当にすごいと思います。
これってきっとニールの「起きたことは仕方がない(起こることは起こる)」という言葉からすると
名もなき男の能力どうこうではなくて「元々そうなる運命だった?」とも捉えられなくはないと思いますが…🤔
私はやはり、名もなき男が1つ1つの決断を下していって
「覆水盆に返らず」を「為せば成る」にしてきた=無理だ無謀だと言われてもそこを“突破”したと感じました。
よく考えたら、キャットを救うために“逆行”の世界へ入ったり、
オスロの保管庫へもう1回行ったりするのも、「しない」決断も出来たと思うんですよね。
しかも担架に乗せたキャットごと回転扉に入れて…っていう直前は、
名もなき男以外ほぼ「え、マジでやるの?」って感じだったのに…すごいです。
②「束縛」からの開放
キャットを演じたエリザベス・デビッキ様✨
背が高くて手足が長くて、まるで女神様のようなオーラをまとった女優さんなんですが、
今作では非常に追い詰められた立場の女性を演じています。
彼女を追い詰めていた元凶。それは夫のセイターでした。
キャットは一度はセイターとやり直そうと思ったものの…出来ない。
キャットがセイターを思いっきり海へ突き落としたシーンには、彼女の全ての思いが表れていた気がします。
(あれだけ束縛され追い詰められていたら、名もなき男に対して「何で助けたのよ!」っていう気持ちも分かる😥)
一方セイターは
自分を守りたいし、キャットにはずっとこっちだけを向いてて欲しいし、自分は先が短いけど周りは巻き添えにしたい…なら未来から過去を奪いに行けばいいんだ
…など、とにかく利己的。
セイターは、わたし的には、なんだか体の周りに無数のトゲがある人のように見えました。
トゲがあるから、周りの人も近づけないし自分からも助けを求められない。
最後のヨットのシーンで、ほんの少しキャットに心を開いている?ように見えた時には、
「寂しいし死が怖い、って素直になるんだ!セイター😣!」と思わざるをえませんでした。
トゲの中は、きっと脆い弱いものなんだろうと思います。
だからといって!
自分の存在を誇示するために、あそこまで妻キャットを虐げるのは本当に許せない。
キャットのあの飛び込み姿は、本当に美しかったなぁ…✨
まさに「束縛」からの開放=殻を“突破”したような感じでした。
③映画を観る私たちを“突破”させたい?ノーラン監督
最後の“突破”。
それはある意味、この映画の存在自体なのではないかなとも思います。
少し前の段落で「“違和感”な映像」という言葉で表現しましたが、
時間の概念の表現の仕方がとんでもないことになっているんです💦
特にすごいのは、一番最後の“順行”チーム・“逆行”チームに分かれるシーンです。
爆破が戻ったり…ヘリが逆向きに飛んできたり…ビルが上半分下半分バラバラに崩れたり戻ったり…。
さらには、同じ画面の中に“順行”・“逆行”どちらも居る=それぞれ動きが逆の人たちが居るので、
おそらく
●“順行”側の目線のカメラの時と(“順行”の人から見たら“逆行”の人が違和感ある動きに見える)
●“逆行”側の目線のカメラの時と(“逆行”の人から見たら“順行”の人が違和感ある動きに見える)
それぞれが逆の動きをしないといけないんですよね😮🙄😵
(※映画パンフレットのノーラン監督インタビュー内に、“逆行”を表現する時のさまざま工夫について書いてあったので、そこから私なりに想像しました)
他にも、オスロの保管庫内のシーン・赤と青の照明が印象的な回転扉がある部屋のシーンなども含め
多分ノーラン監督は私たち観客の脳内理解の限界を突破させたいんだと思います笑💦
ノーラン監督の作品『インセプション』にて、
主人公コブ(レオナルド・ディカプリオ)が、↑この様な図を書いて
夢の中にどう入り込むかをアリアドネ(エレン・ペイジ)に説明しているシーンがあります。
映画『TENET テネット』はまさにこの図のような感じで
「普通は時間ってこんな感じでしょ」と気づかずにぐるぐる回っていた私たちのところへ
「こんな時間の概念の表現の仕方はどうですかー!」とノーラン監督が真横からヒュンっと入ってきたような
…こんなイメージが浮かびました😳
“不快感ギリギリ”の心地よい音楽
そして、ノーラン監督の映画で私がすごく好きなのが音楽✨
今回はハンス・ジマーではなく、ルドウィグ・ゴランソンという36歳(私同い年!)の作曲家が担当されています。
↑ TENET Official Soundtrack | FREEPORT – Ludwig Göransson | WaterTower
(WaterTower Music You Tube 公式チャンネルより)
↑この曲、冒頭がすごく焦らせられる感じというか…
心臓の鼓動のような…虫の羽音のような…
若干不快感・嫌な感じさえ覚えるんですが、なんかカッコいいんです!
ムンバイでサンジェイ・シンの家へ入っていくシーンでかかってたかな?
私は高所恐怖症なので、高いところ×この不安な曲 の組み合わせで、ソワソワしながら観ていました😂😭
まとめ
なんとなく「映画館に物理学を勉強しに行った」というような気さえするこの作品。
そんな難解さがあっても、展開の速さ・ストーリーの核の部分が非常にしっかりしている上に、
”それぞれ別の登場人物目線で観る事ができる”という構造的にも、
何度も観たくなる、「噛めば噛むほどなスルメ映画だな」と感じました。
私はIMAXではない普通の映画館で観ましたが、迫力ある映像を堪能できました。
(特に最初のオペラ会場に入っていくシーンやタリンでのカーチェイスシーンなど)
でも、もし可能であればIMAXで観られる映画館で鑑賞すると、より没入できるのではないかなと思います。
まだまだ分からないところがたくさんありますが…本当に面白い・魅惑的な映画でした。おすすめ。
作品詳細
原題:『Tenet』
2020年の作品
監督・脚本…クリストファー・ノーラン
●名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)…元CIAエージェント。ある任務を負うことになる。
●ニール(ロバート・パティンソン)…ある任務のため、名もなき男に協力する。
●アンドレイ・セイター(ケネス・ブラナー)…ロシアの武器商人。ある秘密をもっている。
●キャサリン・“キャット”・バートン(エリザベス・デビッキ)…絵画鑑定士。セイターの妻。
…他。
(参考:公式サイト, 映画.com, 『TENET テネット』パンフレット )
予告編
↑映画『TENET テネット』(ワーナー・ブラザーズ 公式You Tubeチャンネル より)
読んでいただき、ありがとうございました🎥