『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』レビュー│本物か偽物かよりも…?

こんにちは。lenoreです☆
今回は、アニメ『おしりたんてい』の長編劇場版第二弾
『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』について書こうと思います。
先日たまたまNHKでこの映画が放送されていて、なんとなく観ていたら…
「ん?面白いぞこのお話😮✨」と釘付けになり、後日配信サイトで探して鑑賞しました。
子ども向けの作品ではありますが、大人、特にアートに関心がある方にも響くものがあると感じました。
短い時間の中にしっかりとしたストーリー
最初に感じたのは、映画の時間としてはかなり短い方なのに、ストーリーがしっかりしているなということでした(1時間12分)。
10年前おしりたんていがスイセンという相棒と活動していた頃の話から、
いま現在スイセンと再会するきっかけとなった出来事、
そしてスイセンが置かれている現状が明らかになるシーン…
どのパートも約10分ほどでまとまっていて、
経緯もしっかり分かるし感情移入もできるしで、その構成にとても驚きました。
最初の10分弱は今のおしりたんていの相棒・ブラウンが主人公の短編部分があるので、
お話に関係ないエンドロールの部分も除くと、メインパートは1時間切っているんじゃないかなと思うんですよね🤔
「短い時間のコンパクトな映画」は世の中にたくさんあると思いますが、
●子ども向けの映画で
●情緒的なシーンも・下方面全開のシーンもあって
●泣いたり笑ったり、感情移入もできる
こういう側面もある映画はなかなかないんじゃないかなと感じました✨
全部言いきらない・表現しないのが良い
【この段落以後、内容について言及があります】
素晴らしい絵画を見ると「なんて芳しい!」とすぐに絶賛するスイセンが、
おしりたんていと踏み込んだ話をする時は「何も分かってないよ、きみは」などと明確に表現しないところが、
なんともいじらしいというか可愛らしいというか…😭✨
おそらく…相棒という関係以上に相手を大切に思う気持ちがお互いにあったのかな…?と推測しましたが、
皆まで言わない・表現しないところが、
『おしりたんてい』の紳士的な雰囲気と相まって良かったなと感じました。
こういう表現があるからこそ、下方面全開の場面との対比もできて、
「失礼こかせて いただきます」の一撃シーンでしっかり笑えました😂
見分けがつかないなら、本物は必要ない?
ビッグフラワー財団に所属しているキンモク先生たちの
絵画が偽物だと分からない→皆本物を見極められない→なら本物はいらないから私たちがいただこう→そして私が描いた偽物を称賛し認めるといい…!
こんな感じの主張は分からなくはないんですが、
本物か偽物かどうかよりも、その絵を見て心を動かされたか?
スイセンが素晴らしい絵画を見た時に瞬時に「芳しい!」と言えるあの感覚が湧くかどうか?
この辺りの方がより大切なんだということが、
小さい頃のスイセンとキンモク先生とのやりとりや、
スイセンが大切に持っていた先生と自分を描いた絵などから伝わってきました。
映画冒頭の短編の中で、ブラウンが大ファンである漫画家・よう ほうか先生が
「きみの絵、上手い下手はともかく、気持ちが伝わってきて素晴らしかったよ。その気持ちを大切にね」
とブラウンに声を掛けるシーンがあったんですが、こことも通じるものがありますね🤔✨
(実際ブラウンの絵すごく良かった)
本物と偽物が分からず見ている人への偏った怒りに、自分の絵が認められないことの葛藤(承認欲求)も相まって
スイセンの元から去り、変な方向へ行ってしまったキンモク先生を見ていると、
SNSなどに傾倒しすぎる大人には刺さる部分だなとも感じました。
スイセン役 仲里依紗さんの演技が素晴らしい
スイセンは生い立ちが複雑で、「キンモク先生を救う」という目的も忘れられない過去があってのことですし、
演じるのが結構難しいキャラクターだと思います。
しかも、10年前の彼女の雰囲気は「勇敢なお姫様」という感じだったのが、
今は「しごできマニッシュな女性」という雰囲気に変わっており、
その差を表現するのも大変そうだなと思ったんですが…!!
仲里依紗さんの演技がどのシーンでもぴったりハマっていて、本当に素晴らしかったです。
映画を観ている最中は「この役難しそうなのにやっぱり声優さんってすごいな」と思っていたら、
エンドロールで仲里依紗さんがやられていたと知り、本当にびっくりしました(プロの声優さんだと思ってた)。
特に、おしりたんていに真剣な話をしている時やブラウンに思いを託す時などの、
ちょっと低めの声のシーンが印象に残りました。
かっこかわいい雰囲気がぴったりだなと思います!
まとめ
TVで放送していたのをきっかけに、初めて『おしりたんてい』の作品に触れて、
お話がしっかりしていて、一撃食らわせるシーンの作画もすごくて、笑えるししっとりもするし、こんなに面白い作品をなぜ今まで観ていなかったんだ自分(T_T)!!
と、観たことがなかった今までの時間を若干後悔するくらい楽しめました。
よくある流れのお話かなと思いきや、読めない部分もあったりで、
「子どもだけでなく大人も楽しめる映画とはまさにこのこと!」という感じです。
スイセンのキャラクターデザインが本当に好きなので(10年前の姿も今の姿もどっちも)、
劇場でやっていた頃に知っていたらグッズとか買ってたかもしれないなー✨
子ども向けの作品ではありますが、大人・特にアートに関心がある方にも響くものがありますし、
やりたいことや生き方を模索している方にもおすすめです!
作品詳細
『おしりたんてい』の長編劇場版アニメの二作目。
2024年の映画。
監督…セトウ ケンジ
脚本…高橋 ナツコ 成田 順
●おしりたんてい…三瓶 由布子
●ブラウン… 齋藤 彩夏
●キンモク先生…津田健次郎
●スイセン…仲里依紗
…他。
予告編
↑『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』予告 (東映映画チャンネル 公式YouTube より)
読んでいただきありがとうございました🎥